ダブテールジグ 02 ダブテールジグ 03

従来のジグによる加工
通しアリ接ぎを加工するダブテールジグは様々な製品が市販されています。従来のジグでは左図のように蟻溝ビットでテールボードを加工し、ストレートビットでピンボードを加工します。具体的にはその都度2本のビットを交換し、深さ設定を行うことです。また、本番前に端材を使ったテストカットを何回か行うことで蟻接ぎの噛み合わせ具合を調整する必要があります。調整とはテストカットごとにテンプレート(型板)を微妙に前後させることです。様々な製品が市販されていても基本的な「2本のビットとテストカット」という加工方法は同じです。言い換えれば、「2本のビットとテストカット」がなければ蟻接ぎ加工はとても簡単になると言うことになります。それがMIRAIダブテールジグです。

MIRAIダブテールジグは「2本のビットとテストカット」を必要としない、他に類を見ない独創的なジグです。(特許出願中) 右図のように1種類のビットで2枚の板を加工することができ、煩わしい調節も一切不要です。従って、使い方は従来のダブテールジグでは考えられないほど簡単です。MIRAIダブテールジグは接ぎ手の角を丸くすることで1種類のビットで両方の板を加工します。 ダブテールジグによる加工
ビット MIRAIダブテールジグは刃径1/4インチのストレートまたはスパイラルビットを使い、ルーターベースには外径3/8インチ(9.5mm)のテンプレートガイドを取付けて使います。(ルータービットとテンプレートガイドは付属しておりません。テンプレートガイドはメーカーにより形状が異なるので販売店にお問い合わせ下さい。)
当社のフレームジグをお使いの方はこのビットとテンプレートガイドをすでにお持ちなので、それをそのままMIRAIダブテールジグジグにお使いになることが出来ます。
加工可能な板の厚みは7mm-25mmで、板の幅は470mmまでです。

■ MIRAIダブテールジグによる加工


概略図

この図はMIRAIダブテールジグで2枚の板を加工している略図です。ピンボード型板とテールボード型板がMIRAIダブテールジグです。その型板に沿ってテンプレートガイドを動かすことでビットが板を正確な形状に削ります。また、ビットの深さ設定もテールボードの厚みに合わせる一度の設定で済むことがこの図から分かります。


■ テールボード加工


写真はスパイラルビットでテールを加工しているところです。ビットの深さは板の厚みにあらかじめセットしておき、段階的に下げて加工します。 テールボード加工

■ ピンボードの加工


写真はスパイラルビットでピンを加工しているところです。深さ設定はそのままです。右から左にビットで削るとクライムカットになりますが、ビット先端のささくれ防止になります。 ピンボードの加工

■ 押さえ板の重要性


蟻接ぎは写真のように飛び石状の押さえ板があるととても便利です。この板は製品のストッパーを型板にして端材に形を写し、ジグソーで切り抜けば簡単に作れます。組立て時の作業性まで考えた機能です。 押さえ板の重要性

■ まめ知識


ダブテールジョイント
ダブテールジョイントのダブテール (dovetail) とは鳩のしっぽのことです。日本では蟻接ぎと呼んでいますが、英語圏では「鳩のしっぽ接ぎ」ということになります。
2枚の板を「テールボード」と「ピンボード」と呼びます。鳩のしっぽに似ている方をテールボードと呼びます。ここで覚えておきましょう。

■ 開発者の独り言


20年以上前に包み蟻接ぎのジグがあることを知り、イギリスでダブテールジグを購入したことがあります。その製品にはプラスチック製の型板(テンプレート)が付いていました。持ち帰って、トリマーにビットとテンプレートガイドを付けて何度も加工してみましたが型板の位置やビットの深さ調整の煩わしさから、最後まできちっとした包み蟻接ぎを加工することができませんでした。以後、このジグは一度も使うことなく、とうとう捨ててしまいました。
それから5年ほど経ち、15年前に2度目のダブテールジグを購入しました。本体はがっしりしたアルミ製で、型板もアルミ製です。型板にはいくつも種類があり、各種蟻接ぎに加え、接ぎ手の間隔を自由に調節できる機能まで備わっていました。さらにボックスジョイント(あられ組み)などもできる製品です。購入理由は「今度こそは簡単に加工できるだろう」という期待感と各種接ぎ手が製作できる魅力でした。まずは包み蟻接ぎに挑戦しました。ご存知のようにこの接ぎ手は蟻溝ビット1本で2枚の板を同時に加工でき、簡単だと思ったからです。取扱説明書とにらめっこで型板の位置決めを行い、「基準位置」で固定します。次に本番と同じ厚みの端材板を使い、ビットを指定の深さにして1回目のテストカットです。これで噛み合わせがきついか緩いかを判断します。1回目でベストな噛み合わせになることはまずあり得ません。1回目のテストカットを基に、型板を前後に動かして微調整し、さらにビットの深さ設定も調整してから2回目のテストカットを行います。2回目でちょうどいい噛み合わせになればラッキーな方です。私の場合は3~4回テストカットを繰り返すことで、いい噛み合わせになります。
包み蟻接ぎのセッティングは以上のようなものですが、一度ジグをセッティングしたからと言って次回から調整なしで本番加工ができるかと言うとそうではありません。いくら型板の位置を微調整して、そのまま固定しておいても、蟻溝ビットの深さ設定は毎回、ルーターを使うたびに「基準深さ」を基にしたプラス/マイナスの微調整を端材板で繰り返さなければなりません。このテストカットが大変煩わしい作業なのです。私は、ある人が別のダブテールジグでこうした微調整を10回以上繰り返してもなお、いい結果が出なかったのを見たことがあります。

私にとって夢の接ぎ手である、通し蟻接ぎの製作では、さらにビットが1本加わり、2本になります。2本のビットの深さ設定は前述の包み蟻接ぎのように微妙ではありませんが、ビット交換と深さ設定の手間は増えます。
私が購入したジグでは、包み蟻接ぎから通し蟻接ぎに移行する場合、型板を交換するのは勿論ですが、包み蟻接ぎで、苦労して見つけ出した調整位置の部品も外し、すべてキャンセルしてからでないと次の型板をジグに取付けることが出来ません。こうして再び「基準位置」から始まる微調整とテストカットを繰り返さなければならないので、楽しいはずの木工作業がとてもストレスの溜る木工になってしまいました。以来、このジグは包み蟻接ぎ専用となっていますが、毎回行うテストカットを考えると、使うのが億劫になり、ホコリをかぶった状態が続いています。

MIRAIダブテールジグと同じように接ぎ手の間隔を調節できない、ケラーやギフキンズと言った、日本では馴染みのないダブテールジグがしっかりと海外市場でユーザーの信頼を得ているのには理由があると思います。接ぎ手の間隔を自由に調節できるメリットと、そのことでさらに蟻接ぎ製作を複雑にするデメリットで、差し引きどれぼどのメリットが残るのかをケラーやギフキンズはちゃんと知っているように私には思えるのです。
操作や調整が複雑であってもプロの職人さんや製品のデモンストレーターのように日々、使用していれば、簡単に操作できるようになるでしょう。しかし、私たち木工愛好家がダブテールジグを使う頻度は低いはずです。そのような状況で複雑な製品を操作することは、使うたびに取扱説明書を引っ張り出してきて、一から始めることになります。このことは製品購入を検討する時、気づきにくいのですが、実は大切なポイントであることを購入したジグで学びました。
私自身のこうした苦い体験をふまえ、MIRAIダブテールジグの開発では、一度、取扱説明書を読むか、取扱説明ビデオを見るだけで2度と忘れないほど単純な操作をめざしました。そして、私が個人的に思う、蟻接ぎ製作上の最大の敵「テストカットと微調整」を不要にしました。

ダブテールジグの価格についてはジグ本体や型板の価格だけでなく、ルータービットのことも考慮する必要があります。多くの場合、アリ溝ビットとストレートビット(またはスパイラル)の2本はメーカー指定のビットを使わなければなりません。切れ味が落ちれば2本一緒に購入し、交換することになり、2本一緒となると、軽い負担とは言いにくくなります。でも「2本一緒」はずっと続きます。また、ダブテールジグはずっと使うことが出来るものですから、専用ビットの入手先のこともしっかり考慮に入れておく必要があります。こうしたことを考え、MIRAIダブテールジグはビット1本を使うだけにして、買い換えの負担にならないよう配慮しました。また、このビットは汎用ビットで、通常、溝加工や段欠き加工などに使われる一般的なビットで、メーカー指定の専用ビットではありません。先々のことを考え、入手先が一カ所にならないよう考慮しました。


こちら(外部サイト)から当製品の使用説明ビデオをご覧いただけます。
ビデオをご覧になるにはWindows Media Playerが必要です。

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